季節が夏から秋へと移るとき、朝晩は涼しいのに昼間は暑さが残り、体がついていけずにだるさや食欲不振を感じることがあります。
これがいわゆる「秋バテ」です。
東洋医学では、この時期は「脾(消化吸収をつかさどる働き)」や「肺(呼吸や潤いをつかさどる働き)」が乱れやすく、心身の不調につながると考えられています。
そんなときに役立つのが、薬膳の知恵を取り入れた養生法。
たとえば、体を潤す旬の梨や、気を補うさつまいも・きのこ類などを上手に食卓に取り入れることで、毎日の食事から無理なく体を整えることができます。
今回は、家事やパートで忙しい主婦の方でも簡単に実践できる薬膳レシピや、秋を健やかに過ごすための養生の工夫をご紹介します。
ご家庭の食卓に、東洋医学のやさしい知恵を取り入れてみませんか?
季節の変わり目に起こる不調と東洋医学の知恵
気温が一気に下がり、虫の声や風に秋を感じる季節の変わり目。
この時期は、見えないところで身体が大きな影響を受けています。
東洋医学では、漢方や薬膳の考えを通じて 「気・血・水」のバランス を整えることが健康の基本とされています。
東洋医学の基本「気・血・水」とは?
体を構成する3つの要素は、互いに巡り合いながら健康を支えています。
- 気(生命エネルギー):元気の源。生命活動を支える力
- 血(血流・栄養):身体に栄養や潤いを供給し、精神活動も支える
- 水(体液):リンパ液・唾液・尿など、体を潤すもの
例えば、疲れが溜っている、オーバーワークなどで「気」が不足すると、「血」の流れが悪化しクマができ、「水」も滞ってむくみが生じます。
養生(ようじょう)とは?
養生とは「健康に気を付けて身体を大切にする」「病気やケガからの回復に努める」という意味。
身近な工夫で簡単に実践できます。
疲れた時 → 甘いものを少し食べる
胃腸が弱い時 → キャベツを取り入れる
むくみが気になる時 → 豆を食べる
花冷えの時 → スカーフで首を温める
まさに 「医食同源」。食べるものがそのまま薬になるのです。
秋に意識したい3つの養生法
1. 夏の疲れを癒して免疫力を高める
秋は冬に向かう準備の季節。
夏の疲れを癒し、気持ちを落ち着けて過ごすことが大切です。
2. 秋は「乾燥」に注意|肺を守るケア
秋の大敵は乾燥。肺が弱ると、風邪・咳・肌トラブル・胃腸不良が起こりやすくなります。
【対策】
- 保湿ケア(アロマオイル・クリームでマッサージ)
- 室内湿度を40〜60%に保つ(加湿器・濡れタオル)
- 外出時はマスクで乾燥対策
精神面のケア
秋は「憂(うれい)」や「悲(かなしみ)」が強まる季節。
腹式呼吸で心を整え、ゆとりある生活を心がけましょう。
3. 秋におすすめの食べ物|薬膳の知恵
「白い食材」と「旬の果物」が肺や肌を潤し、乾燥を防ぎます。
【おすすめ食材】
白いもの:れんこん、白ごま、はちみつ、白きくらげ
旬の果物:ぶどう、いちじく、柿
魚:さんま、鮭、さば(消化吸収を助ける)
芋類:じゃがいも、里芋、山芋、かぼちゃ(胃腸をサポート)
きのこ類:免疫力を高める
【注意点】
辛いものの摂りすぎ → 肺に負担、情緒不安定の原因に
食べすぎ → 胃腸を痛めるので、よく噛んで消化を助けること
秋の薬膳レシピ例
鮭と豆乳の味噌スープ
玄米とろろご飯
焼きさんまのナッツかけ など
東洋医学で健やかな秋を過ごそう
秋は「乾燥」「気分の落ち込み」「免疫低下」が起こりやすい季節です。
東洋医学や薬膳の知恵を取り入れ、気・血・水のバランスを整えて冬を迎える準備をしましょう。